今回は台風来るのが分かってたんで期日前投票してきましたけどね。

自治体全域「開票不能」に 離島の投票箱、未着なら(47NEWS)

…即日開票なんて無理にしなくていいと思うんですけどね。翌日でいいじゃないですか。

というそもそも論は置いといて、こういうニュースを見ると、電子投票でなんでダメなのかねと思うわけです。電子投票といっても自宅からオンラインで投票できるというやつではなくて、投票所に行って紙の投票用紙ではなくコンピューターで投票するやつ。日本でも地方選挙については2002年に「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律」(電磁記録投票法)が施行されており、地方自治体が条例を制定した上で実施可能になっています。

電磁的記録式投票制度について(総務省)

タッチパネル、テンキー、ボタン等の操作で投票する機械等を投票所、期日前投票所での投票に使用できます。とはいえ、条例制定後に10以上の自治体が導入したものの、今でも実施するのは岡山県新見市と青森県六戸町のみとなっています。

消えてしまうかも…広がらない端末利用の電子投票 「コストかかりすぎ」廃止の京都市 (1/3ページ) – 産経WEST

導入が進まない理由はコストがかかることと、国政選挙で導入される見込みがないことだそうです。国政選挙で導入されることになればコストも引き下げられるのではないかと思うのですが。

さて、この電磁的記録式投票制度では、投票結果は投票機内に蓄積し、電磁記録媒体で開票所に持ち込み集計する、ということになっています。つまり今回のように「台風で物理的に投票箱が運べない」状況の時には、同様に役に立ちません。オンラインでデータを伝送することはできないのでしょうか。不特定多数の端末ではなく、規格化された限られた端末からであれば、セキュリティを確保してデータを伝送することは現実的な気がします。

今回の問題は「離島の投票箱が運べない」ですが、山間部などの限界集落などでも投票所の維持運営にはそれなりのコストがかかっているはずです。でもコストがかかるからといって投票所を間引いてしまっては、その地域の住人の投票する権利が損なわれます。また、年を取って文字を書くのが難しくなった人でも、ボタンやタッチパネルによる電子投票であれば正しく自分の思う候補に投票できます。

全ての投票を電子投票化する必要はないかもしれませんが、投票箱を運ぶために繰り上げ投票を行っているような投票所では、データをオンラインで伝送する電子投票を導入することは考えても良いのではないでしょうか。立会人も複数が現地にいなくても、監視カメラによる遠隔監視と組み合わせることもできそうです。

「台風だから家から出ないで投票できるようになればいいなぁ」とは思いますが、オンライン投票実現にはまだまだセキュリティの観点から問題が多すぎます。とはいえ、すべての有権者の投票する権利を損なわないために、「複数の立会人のもと、紙で投票箱に自筆の投票用紙を入れ、それを1か所に集めて仕訳し集計する」という選挙の仕組みそのものを見直す必要がそろそろあるように思います。