Coaido119は、救急時の119番通報しながら周囲の救命ボランティアにSOS発信ができる次世代119アプリです。第3回IoT Lab Selectionでグランプリを受賞し、8月にIPAと「第3回先進的IoTプロジェクト支援事業」の委託契約を締結しました。
豊島区の後援を得て、池袋駅から半径1kmを対象とした実証実験を8月28日から開始します。当面はフェーズ1としてクローズドユーザーを対象にβテストを行い、その結果をフィードバックして11月からスタートするフェーズ2では一般ユーザにもアプリ配布を拡大します。
アプリの機能
アプリを使用して119に電話をすると、アプリを持つ救急資格保有者に救援要請が送信されると共に、近隣のAED設置場所の固定電話に救急事案が発生したことが通知されます(AEDエリアコール)。アプリには発生場所の地図や現場映像が表示されるので、救援者が素早く現場位置特定と状況把握ができます。
Coaido119を利用するには、利用者としての発信登録(実名登録)が必要です。利用できるのは当面、実験エリアとなる豊島区内在住・在勤・在学など池袋駅周辺を利用する人に限定されます。
さらに、救急救命ボランティアとして動ける人は、自分の資格を登録できます。消防機関の普通救命講習を始めとした各種救命講習資格および、医療系国家資格等の救命資格を保有する人が対象となります。登録時には画像により資格証の確認が必要です。
地域内にできるだけ高密度な実装を行うために、実証実験エリアは池袋駅から半径1㎞に限定しています。エリア内のAED設置施設に対しては、説明会を実施し、AEDエリアコールを受信できる設定を行います。
池袋を選定した理由
実験に池袋駅を選んだ理由は「人が多いから」なのだそうです。池袋駅の1日乗降客数は262万人に上ります。心停止件数が多いのは人口密集度と流動人口が大きな地域であり、人が多いということは救命が必要となる機会も多くなります。また豊島区内の豊島消防署と池袋消防署の救急救命講習受講者数は年間9,000名にも上ります。Coaido119によって、これらの有資格者がが救命ボランティアとしていざという時かけつけられる体制づくりを目指したいのだそうです。
1月までの実証期間はIPAの委託事業として実施すると同時に、2月以降の継続とエリア拡大に向けた行政・企業との契約交渉も実施していきます。
「結果が出るかどうかはアプリのインストール数次第であり、できるだけ多くの人にインストールしてもらいたいアプリです」(Coaido株式会社社会実装担当 救急救命士 小澤 貴裕氏)とのことでした。インストール数だけでなく有資格者の登録を増やすために、消防署の救急救命講座と連携して講習修了時に登録してもらうなどの方策を考える必要があるでしょう。また、発報時に、すぐに駆け付けられる距離に有資格者がいるかどうかが分かる機能があると良いのではないでしょうか。
つい先日、学校で倒れた野球部の女子マネージャーが心室細動を発症していたのに、AEDを使用する適切な処置がされず、亡くなったという事故がありました。119発報と同時に専門知識のある救急救命士に助けを求め、救急車到着までの間に適切な判断と処置が可能になれば、このような事故を少しでも減らすことが期待できます。AEDエリアコールに関しては、かかってきたコールに対して施設管理者がどのような対応をするのか、コールの頻度が施設の負担にならないかなどの検証がさらに必要になると思われます。
関連情報・画像提供:Coaido Inc.